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「銭形平次捕物控(20)」 野村胡堂作 357円 |
| 「御免」 少し職業的に落着き払った声、銭形平次はそれを聞くと、脱いでいた肌(はだ)を入れて、八五郎のガラッ八に目くばせしました。生憎きょうは取次に出てくれる、女房のお静がいなかったのです。 「ヘッ、あの声は臍(へそ)から出る声だね」 ガラッ八は頸(くび)を縮(すく)めて、ペロリと舌を出しました。 「無駄を言わずに取次いでくれ」 「当てっこをしましょうや――年恰好、身分身装(みなり)」 「馬鹿だなア」 「まず、お国侍(くにざむらい)、五十前後の浅黄裏(あさぎうら)かな」 八はもっともらしく頸を捻(ひね)ります。 「訛(なまり)がないぜ――それに世馴れた調子だ――まず大家(たいけ)の用人というところかな」 平次もツイ釣られます。……お馴染み平次とガラッ。 本巻収録作品 ◆平次屠蘇機嫌(とそきげん) |
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平次屠蘇機嫌(とそきげん) |
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