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「グリム童話(下)」 グリム兄弟編・塚越敏訳 エキスパンドブック 302KB/ドットブック版 99KB/テキストファイル 86KB 525円 |
| グリム兄弟が集めたドイツ童話。この巻には「ブレーメンの音楽隊」「白雪姫」「金の鳥」「命の水」など16編を収める。エキスパンドブックは、素朴なヨーゼフ・シャールの挿画入り。
収録作品 ブレーメンの音楽隊 |
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| 立ち読みフロア | |
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ある男が、ろばを一匹飼(か)っていました。ろばは、もうなん年もなん年も、根気よく粉ぶくろを水車小屋に運んでいたのです。ところが、さすがにもう力もつきてしまって、仕事の役にも立たなくなりました。 そこで主人は、もう餌(えさ)をやるのはよそう、と考えました。ところが、ろばのほうも、風向きの悪くなったことに気づいて、そこから逃げ出し、ブレーメンに向かっていきました。あそこにいったら、町の音楽師になれるかもしれない、と思ったからです。 しばらくいくと、猟犬(りょうけん)が一匹、往来に寝ていました。猟犬は、走りまわってへとへとに疲れたようすで、口をあけて、はあはあいっていました。そこで、ろばはたずねました。 「パックリくん、どうしたの、そんなにはあはあいってさ?」 「ああ、わしも、年をとってしまってな、からだも日ましにきかなくなるばかり。それに、猟にいっても、もう駆(か)け出すわけにもいかず、それでわしの主人ときたら、わしをぶち殺そうとしたのさ。そんなわけで、わしは逃げ出してきたんだ。だけどね、このさき、いったいどうやって食べいったらいいものやら?」 すると、ろばが言いました。 「ねえ、どんなもんだろうね。ぼくはブレーメンにいって、あそこで音楽師になるんだ。ぼくといっしょにいって、きみも楽隊に入れてもらいなさいよ。ぼくは弦楽器(リュート)をひくから、きみは太鼓をたたくんだな」 それには犬も満足して、二匹そろって歩いていきました。 しばらくいくと、猫が道ばたにすわりこんで、長雨つづきのような陰気な顔をしていました。 「ひげそうじのお年寄り、面白くないことでもあったのかね?」 と、ろばが話しかけると、 「生命(いのち)にかかわる一大事(いちだいじ)だというのに、誰が愉快にしていられるかね。年もとってさ、歯ももうだめになっちまうしね。もうねずみを追いかけまわすより、ストーブのうしろにうずくまって、ごろごろのどを鳴らしているほうがいいのさ。だから、おかみさんときたらおれを水のなかにつけて、おぼれさせようとしたもんだ。やっとこ逃げてきたものの、さてどうしたらいいものか、途方にくれているわけさ。いったいどこにいったらいいものかね?」と、猫が言いました。 「ぼくらといっしょに、ブレーメンにいこうよ。きみはセレナーデが得意じゃないか。だから町の音楽師になれるぜ、きみは」 ろばがそう言うと、猫もそれはいいことだと思って、いっしょについていきました。 こうして、この三匹の逃亡組(とうぼうぐみ)が、一軒の農家のそばを通っていくと、今度は、おんどりが一羽、門の上にとまって、声をかぎりに叫んでいました。 おんどりも、この申し出にしたがって、四匹そろって出かけていきました。 ……《ブレーメンの音楽隊》より |
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